「仰げば尊し」の論調に思う
最近卒業式では、「仰げば尊し」を歌わないらしい。
産経新聞の3月19日の「港町」には、卒業式で歌われる曲の1位が「旅立ちの日に」で、他には「3月9日」(レミオロメン)(どんな曲か知らない)、「栄光の架け橋」(ゆず)、「ありがとう」(いきものがたり)などが上位にランクされている。
私たちの時代といえば半世紀も前になるが、「仰げば尊し」が定番であった。
産経新聞の3月21日の「正論」で、文芸批評家で都留文科大学教授の新保祐司教授が2番の歌詞が削除されている教科書が昭和50年代から加速度的に増え、最近では100%に近いと述べている。
2番の歌詞とは、
「互いに睦し 日ごろの恩/別るる後にも やよ 忘るな/身を立て 名をあげ やよ 励めよ/今こそ 別れめ いざさらば」
である。
削除の理由を、「立身出世と解釈できる場合があり時勢にそぐわない」との意見が教育現場にあったと解説している。
産経新聞の「港町」によれば「人として立派に成長し、正しい道を行き、名を後の世までも語り継がれる」のが孝行と説くとある。
この意味であれば何も非難したり、削除したりすることはない。むしろ推奨すべき内容であるように思う。
歌詞の意味の解釈論で議論を交わすのは構わない。
しかし簡単に歌詞の一部を削除することは、作詞者の意思を無視することになるのではないだろうか。
昔の歌には日本語のきれいな響きが残されているように思っている。
私は、昔の日本の歌を大事にして歌っていきたいと思う。
これらの論調に触れ、歌う私たちは、歌詞の内容にもっと踏み込み、歌詞の意味を理解し、イメージして歌うことが大切であるとの思いに至るのである。