唱歌「春の小川」
「春の小川」の合唱を練習している。私のパートは低音のバスである。
「春の小川は さらさら行くよ 岸のすみれやれんげの花に すがたやさしく 色うつくしく 咲けよ咲けよと ささやきながら」
一番の歌詞が醸す情景は、どんなんだったのだろう。
作詞家の高野辰之氏は、東京都多摩郡に住んでいたときに作ったとされる「春の小川」は、渋谷区を流れる渋谷川の支流の河骨川の情景を歌ったものらしい。時代は大正末期のこと。
今は暗渠になっていて見えず、近くに石碑が建っているらしい。見たことはないが、Webで確認できる。
当時の情景は想像するしかない。私の子供の頃の情景と重ねてみる。
私の子供の頃(5歳~)は昭和25年から30年ごろの和歌山県の片田舎に住んでいた。
春の田んぼには、一面レンゲの花が咲き誇っていた。ミツバチがぶんぶん飛ぶ中レンゲ畑で友と追いかけっこしたり、飼い犬を追いかけまわしたりした。
時にはレンゲの首飾りや腕輪を作って遊んだ。田植えが始まるまでは田んぼが絶好の遊び場であった。
田んぼの近くには小川が流れていた。田んぼに水を引くためのものだったのだろう。セメントの護岸工事も少なく、土のまんまの土手が多く、草花を育んでいた気がする。タンポポやスミレや名も知らない花々もあった。
川の水は澄み、雨降りで増水するまでは小さな子どもにとっても特別怖い川ではなかった。川はいつもきらきらと輝き流れていた。
たくさんのメダカが群れをなして泳いでいた。ふかしイモの切れ端を入れた瓶を沈めておくと透明な小エビがとれた。小エビは釣りのえさになった。
ときどき川をせき止め、水を抜くとフナやドジョウがとれた。
そんな楽しい遊び場を提供してくれたのが小川であった気がする。
春の小川の情景
出典 http://kan.cool.coocan.jp/intothefield/illust/vol01/21.jpg